本の記録
読書感想文。
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人間失格
02月 21日 * 08:38 * 太宰 治 *
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10代の頃に数ページで断念した太宰治の暗い話。


家に恵まれ、金銭的にも恵まれ、いわゆるお坊ちゃんとして育った主人公が、
人間怖い人間怖い、人間のことがわからない自分は所詮人間失格だ。と嘆きながら、
盛大に周囲に迷惑をかけまくるお話。

ああ、言い訳小説……。などと思ってしまいました。
この主人公のつぶやく多くの言葉は、過去にどこかで聞いたことのあるものだったりなんだり。
この人、お金や育ちばかりか容姿にまで恵まれていて、頭も良くて器用なのですよね。
こんだけ恵まれてて、最後あそこまで落ちていく感じは見事としか言いようがない。

しかしこんなダメ男が女の人にもてる理由は、なんだかすごくよくわかるのであって。
その好意にべったべたに甘えつつも、結局最後まで自分のことで精一杯っていうこの感じ。
文系ダメンズの典型という感じがしますが、最後まできちんと現実を見ようとしなかった
(それでやってこれてしまった)この主人公は幸せなのか不幸なのか。

本当にここまでやらかしてしまう人はそうそういないだろうけれど、
主人公の抱えている気持ちや不安はおそらく誰もが抱えているものだと思います。
人間のことがわかる人間などいないし、世間なんてもんを縦にあれこれ干渉してくる人間は私も嫌いだ。
「世間様」っていうものが今よりもずっとずっと大きくて重かった時代の小説ですから、
きっと大変な思いをしたのでしょう。それでも好きなように暮らしていたこの人はある意味すごい。

食うや食わずやで暮らしている人は鬱にはならない。
そのあたりは当たり前に確保されている層の人だけが、この小説のような苦悩に陥るのですよね。
そういう意味で、恵まれた人のお話なのだけれど、この恵まれているがゆえに生まれる苦悩は、
なかなかに複雑でしんどいものなのだよなあ。でもやっぱり言い訳小説だよなあ。と思ったのでした。

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